北へ 〜疾駆〜
バイクに憧れたのは、いつからだったろうか。
大学１年の時、自転車で四国の東半分をツーリングした。上り坂にあえぐ自分を、バイクツーリスト達が鮮やかに追い越して行く。「ちきしょ〜」そう思った瞬間、すっ、、、と出されるピースサイン。
ピースサイン。ツーリングするライダーや、チャリダー同士の挨拶。
「こんにちは」だけじゃない。「がんばれよっ！」「ありがとうっ！」てないろんな意味を持ったサイン。見るたびにカッコ良い、と思った。「いつか、自分も鮮やかにピースサインを決めてやる！」そんな単純な想いが、多分、原点。
バイクに乗り始めて３ヶ月たった、夏の終わり。１週間の休みを取った。
行先は北海道。初めてのロング・ツーリングで、初めて訪れる北の大地。バイクに乗る楽しさとツーリングの天国「北海道」を教えてくれた人が、そのどこかを今走っているはず。「会える可能性はないけれど、同じ空の下を走ってみたい」
そう思った。
限られた時間で、自分はどこまで走れるだろうか？自分の進む道の先に、何が待っているんだろう？
平成３年８月２６日。ブドリは北へ向かって駆け出した。慣らし運転がすんだばかりのＳＸ２００Ｒと共に。
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この旅を終えて福島に戻ってきたブドリを待っていたのは、関西・奈良へ転勤の話だった…（＾＾；