〜マークX赤道儀システム〜


その１　その２


　 　

２つの架台＋アルファ

↑

大まかですが緯度用の角度目盛もついて
います。下のMX-3 架台と比較して見ると、
両者の造りの違いがよくわかります。

↓

　ポータブル赤道儀としての使い方から「望遠鏡を載せる」ステップアップを考えると、ひと揃え必要になります。大学に入ってバイトを始め、懐具合に余裕ができてから（笑）まずは架台を…と当時のアトム横浜店に出かけると、店長の中川さん（現：トミーテック、BORGの生みの親）が「いいのがありますよ」ニヤリと笑って(^^;この架台を見せてくれました。

1：ビクセン　フォトガイド２用三脚架台

　ビクセン「フォトガイド２星野写真儀」用の三脚架台。専用品のはずなんですが…なぜかフォトガイド２本体を取り付けるのにアダプタープレートが必要という不思議な作り。そしてマークＸのMX-1 ベースモデルはアダプター無しで取付OKという…どっちの専用品なんだか（笑）
　 この三脚架台には純正品よりも良い点があります。それは水平微動ができること。MX-3 架台は水平微動ができません。極軸合わせの際に水平微動ができると、やはり便利(^ ^)載せる望遠鏡は「PENTAX 75EDHF（重量2.2kg）」を考えていたので、パイプ型の脚部分とも相まって強度は充分実用に耐えます。そして架台のみの重さが1.5kg程度と軽く、ポータブル赤道儀で使う時に持ち運びが楽な事、純正品のMX-3 架台＋MX-80 三脚（長）またはMX-81 （短）を購入するより実売価格で1万円以上安かったこと、も魅力的でした（笑）。
　 さすがに大きめの望遠鏡を載せるのはしんどそうなので、その時にはMX-3 架台を使うとして…それ以外の時にはまだまだお世話になります(^ ^)。

　小型赤道儀であるマークＸの積載重量は、最大約10kg程度でしょうか。取扱説明書には約7.5kgまでの例しかありませんが、手元にあるパンフレットには12.5cmF8反射望遠鏡とサブスコープを載せ、バランスウェイト（約3.3kg）を３つ付けた状態の写真があるので、そこからの推測です。鏡筒の重さにもよりますが、ニュートン式反射望遠鏡なら13cm、カセグレン式反射望遠鏡なら20cm、屈折望遠鏡なら10cm程度のものが上限かと考えています。今のところ予定はないけれど(^^；将来その上限に近いシステムを組むとして…やはりフォトガイド２用三脚架台では不安がありました。
　いろいろ考えているうちに…2006年初夏。ようやく手に入れたのが、これです(^ ^)v。

２：MX-３　 架台

　フォトガイド２用三脚架台よりもひとまわり大きく、重く（2.5kg）がっちりしていて安定度は全く違います。やはり純正品がしっくり来ますね(^^) 緯度の微調整は架台中ほどに見えているターンバックルを回して動かします。可動範囲は北緯（南緯）18度〜48度、赤道辺りで使う時の「赤道用ターンバックル」も別売されていました。水平方向はクランプをゆるめて動かせますが、水平微動はできません。これが「マークＸ唯一の欠点」なんて言われます(^^；。
　実物を手に入れて「おや？」と思ったことがひとつ。「GOTO Mark-X」とロゴの入った円いプレートの周りの部分…ここがアルミ削り出しのパーツで銀色だったと覚えていたのですが、今回手に入れたものはメタリックブルーのハンマートーン塗装一色。いろいろ調べてみると、どうやら製造中に仕様変更があったようです。どちらが前期型・後期型なのかはわかりません。どなたかご存じの方がいらっしゃったらご教示いただけると幸いです(^ ^)。

　さて、これから三脚を探さないと…（笑）純正品のMX-80 三脚（長）と、MX-81 三脚（短）は中古でももう手に入らないだろうなあ(^^；アストロ光学のAR赤道儀用三脚か、カートン光学のスーパーノヴァ赤道儀・TA経緯台用三脚は取付可能のようですが…実はこちらも絶版品だったりします（爆）。

　…で（笑）純正三脚は今やコメットトラッカー並に入手困難と思い、他の赤道儀用三脚を改造して使うべく加工を依頼。ところがその直後、長短別々にですが出てきました！長い方はお話を頂いた方の都合が悪くなった為あきらめましたが、短い方は無事入手することができました。まさか手に入るとは思わなかったので感激ひとしおです〜(^ ^)v

・MX-81　三脚（短）

　MXナンバーのついた純正三脚（木製直脚）２種類のうち、その短い方になります。全長85cm、ラワン材に足踏み部の付いた石突きが組み込まれています。三脚の開き止めは三角板ではなく、「載物台」底部分に付けられた１本ネジに各脚からのステーをはめ込んでまとめ、蝶ネジで留める仕組みです。シンプルですね。
　 カタログ（1986年8月版）には80mmF8.25屈折セットと12.5cmF8反射セットがMX-81仕様で掲載されています。また料金表（1986年1月版）には「マークＸマウントセット（鏡筒なし、MX-1ベースモデル・MX-2赤緯軸・MX-3架台・MX-4観測装置取付板・MX-10バランスウェイト１個・及び三脚）」についてMX-81がデフォルトとなっています。

　さて、喜び勇んでMX-3 架台に取り付けようとすると…きつくてすぐには…はまりません(^ ^; 脚を梃子のように動かしながらぐいぐい押し込み装着完了。どうやら三脚側取り付け部の幅が架台側取り付け部の幅よりわずかに狭い模様です。後日、行きつけの中古望遠鏡屋さんで話を伺うと「それがデフォルトのようですよ」との話。そのくらいきつく挟み込んでいればガタが出なくて良さそうです。
　脚の長さは長焦点の屈折を載せるにはやはり…ですが、私の場合は短焦点を載せるつもりでいるため、この程度の長さがちょうど良いくらい。MX-81なら自分の車（ダイハツ・ネイキッド）のリアシートにMX-3 架台を付けたままで横向きに乗せられます。


赤緯軸とバランスウェイト

↑シャフトの全長約47cm。純正バランスウェイトは３個までが限界かと思います。 これもだいぶ年季が入ってきてます（笑）

　ビクセン・フォトガイド２用三脚架台を購入した際、同時に発注したのが赤緯軸。MX-1ベースモデルに比べ、赤緯軸は当時のアトム横浜店でもさすがに在庫を置いていなかったくらいのマイナーさでした（＾　＾；；；

・MX-2　 赤緯軸 　

　バランスウェイトシャフトを除いた軸本体の大きさと基本的な形のラインはベースモデルとほぼ同じです。両者を組み合わせた際、バランス良く見えるデザイン的な配慮があったか、大元の型を同じにして生産性に配慮したのかな、なんて思えますね。

　 MX-1 ベースモデルとセットになっている、MX-4 観測装置取付板と極軸ファインダーのふたをはずし、MX-2を取り付けます。この接合部については天文ガイド1978年8月号の新製品紹介で、故・冨田弘一郎さんがツッコミを入れてます。加工精度がなく、また取り付けづらい！と（笑）。少々取り付けづらいのは確かですが、目くじら建てるほどではないです。
　MX-2を取り付けたら、今度はMX-2とMX-4又は鏡筒バンドの取り付けですが…接合部に突き出たウォームホイル部の化粧ぶた部分が、前期の物は塗装されていました（複数の中古品や見せていただいた物で確認）。後期の物は画像のようにアルミ無地です。いつからこうなったのかは不明。また、バランスウェイトシャフトも先端の抜け止めボルト径がM8とM10の２種類あります。

　赤緯軸を発注する際…予算が足りずバランスウェイト購入を先送り。翌月、当時比較的近くにオープンしたばかりの「すばる光学」を訪れて依頼したところ「もっと安くて使えるのがありますよ」とミザール製のバランスウェイトを勧められました。「安い安い病」に罹っていた当時の私は、当然のごとくその話に乗りました（笑）

・MX-10　 バランスウェイト 　

　結局そのミザール製バランスウェイト1個で18年間がんばり（＾　＾；純正のMX-10バランスウェイトを手に入れたのが05年7月のこと。オークションでの競り合いの結果、販売時新品のなんと４倍の価格になってしまいました…。アホだなぁ、オレ。
　 その半年後。ボルトとクランプレバーが欠品の純正ウェイトを見つけて安く購入。五藤光学に相談してみると「ボルトは無いけど図面があるので作れます。ただ、値段が高くなりますが…」との話。

　作ってもらいましたよ〜、お願いして（笑）。 バランスウェイト用ボルト2,000円、先端に付けるジャンピング150円、クランプレバー600円…しめて1個2,750円也（＾　＾；。予備も含めて２個、5,500円はタバコ代と食費を削りました（爆）。
　さらにその半年後、もう１個見つけて限界一杯の荷重にも対応できるようにしました。これでウェイトはもう探さずに済みます（笑）。



最後の切り札？減速微動装置

　モータードライブを使って星を追尾・撮影するのが目的だったため「こういう装置もある」という程度の認識で、最初はアウト・オブ・眼中だったもの。自作や修理の技術を持たない私にとって、モータードライブが壊れた時の最後の切り札とも言えます…って、ちょっと大げさかな（笑）

・MX-20　減速微動装置

　MX-1ベースモデルのウォーム軸にとりつけて、目盛りの付いたダイヤルつまみを１分間に１回転させると、極軸が恒星時追尾のスピードで１分角動くように作られている、いわば「手動ガイド用追尾補助装置」。つまみの目盛りは恒星時５秒角ごとに刻まれています。
　 星野撮影をするときに、レンズの焦点距離によって星を点像で撮る時間は限られています。たとえば標準レンズ(50mm)だと15秒くらい。それ以上だと星が流れてしまいます。そこで…時計の15秒ごとに減速微動装置のつまみを目盛り３つ分（15秒角、1/4回転）回すと、極軸が15秒角動きます。これを繰り返せば、星を点像に写す許容範囲を超えないで追尾撮影したのと同じ、と言うわけです。
　また赤緯軸に付けた場合は、普通の赤緯微動よりもさらにゆっくりと細かく動かすことができるので、彗星核ガイドで彗星の動きを追って微調整しつつの撮影や望遠鏡に高倍率をかけて天体を見る時にはとっても便利です。

←MX-2赤緯軸のウォームに取り付けた状態。

　

　中古品、単体で出てくることのほとんど無い品なので、よく見つかったなあ…というのが本音です(^ ^；；；。

　

　長焦点の鏡筒を載せる際にはダイヤルつまみを微動ハンドルに付け替えて操作できます。 ↓ →

　

その１　その２

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